ストーリーは非常にシンプル。現代のエクストリーム・クライマーの第一人者であるラインホルト・メスナーが1970年にヒマラヤのナンガ・バルバット登攀の際に、頂上に到達したにもかかわらず下山の時に遭難し弟のギュンターを失う。その壮絶な道行きのドラマと美しい山の映像を堪能。でもどうしても山岳映画って「厳しい自然」と「人間」の対決ドラマって感じ。で必ず自然には敵わないという。かなり似通ったプロットになるんだろうね。
沢木耕太郎の「凍」を読んだ時も思ったけれど、その山という偉大な自然にさらされた時、人間の精神力と判断力がどれだけ強靭かっていうのが試される。でもそれだけ「自分自身」が試されるというのは麻薬のように人を山にひきつけるのだろうなと。社会で認められるとかまわりの人たちと円滑にうまくコミュニケーションしたいとか、そういう「自分から外側に向かう」快感ではなく、ひたすら自分の能力を信じて自分を見つめる「究極に内省的」な体験。私も数ヶ月走っていて、最後に全力で50mぐらい走ってみたりしていると、自分の能力が信じられるようになるのってなんとも気持がいい。その片鱗の僅かでも気持ちいいと思うんだから。
そこまでの究極の自分を試すまではとてもとても行かないけれど、山に登りたくなり帰りにアウトドアショップで山ガールグッズを物色してしまった。また秋に六甲山登ろう。今度は登って降りてトレイルランニングできるかな?