ぐりのもとに、とうとう1歳から毎年送られてきた「こぐま社」の最後のバースデイカードが送られてきた。ぐらの時も感慨深かったけれど「これで育児の数ステージは終わったんだな・・・」としみじみ。手紙を読んで、ぐりは「小さい子たちにバースデイカードは譲ってあげる」と。しっかり自分の足で歩き出そうとしています。
バースデーカードは宛名、カードともすべて名前住所は手書き。そして最後のカードには以下のような手紙が同封されています。ぐりはさっと読んでいたけれどこの手紙の本当の価値が分かるのは、きっと彼女が大人になって子どもを持ってからだと思う。記録しておきます。
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お誕生日おめでとうございます。
何年も前の今日という日に、あなたはこの世界に誕生しました。それからしばらくして、ご家族のだれかが、こぐま社の絵本をあなたに読んでくださるようになり、絵本にはさんであった読者カードをこぐま社に送ってくださって、私たちはあなたのお誕生日に「おめでとう!」のことばを届けられるようになりました。今までお送りしたバースデーカードは、あなたがずっと絵本と友達でいてくっれたことへの、こぐま社の感謝のしるしでした。もう大きくなった皆さんの中には、毎年楽しみに待っていてくれる人、ちょっと子どもっぽいんじゃない?と思いはじめた人・・・・、いろんな人がいると思います。
私たちがバースデーカードを送りはじめてから、40年以上の月日がたちました。はじめはそれほどおおぜいではなかったのですが、今では一年間に30万人以上の子どもたちにカードを送りつづけています。そして、毎日その数はふえています。
そこで、こぐま社からお願いがあります。大きくなったあなたから、これから絵本と出会う小さな子どもたちへ、バースデーカードを受けるという楽しみをゆずってあげてくれませんか?
でも、「私はもう大きいけれど、バースデーカードを楽しみにしています」という人はどうぞえんりょしないで、そのことを手紙やハガキに書いて、私たちにしらせてください。楽しみにまっていてくれる人にバースデーカードを送るのは、私たちにとっても本当にうれしいことなので、来年からもかならずお送りします。まっていてください。(あなたの誕生日と連絡先の電話番号を必ず書いてくださいね。)
これからおおきくなっていくにつれて、きっと今までよりもっといろいろな種類の本に出会うことになるでしょうが、勉強やスポーツや、さまざまな楽しみも増えて、本からしばらく遠ざかることも、きっとあると思います。でも、もし、あなたがこまったときや、何か知りたくなったとき、だれかに相談したいときは、その相談相手として"本"があることも、どうぞ忘れないでいてください。本の中には、何百年も昔から生きてきた人々の知恵や知識やおもしろい考えが、いっぱいつまっています。きっと本があなたの力になってくれるときがあると、私たちは信じています。
こぐま社