「灼熱」(シャ-ンドル・マーライ・集英社)ハンガリーの作家、会わなくなって以来41年後に邂逅した二人の老人が過去を延々と蝋燭の炎の下で話す、特に主人公の老人の独白に近いという設定なんだけどぐいぐい引き込まれる。魂の友情を誓った二人の少年が「音楽」を人生の糧にできるかできないかで「別の人種」となりそこに主人公の妻がからんでくる。舞台は昔のウイ-ンなんで「城」とか「肖像画」とかそんなものが出てくる世界です。
割にこういう「昔の貴族」系の話は好きだ。カズオ・イシグロの「日の名残」とか。これは映画もかなり好きだった。アンソニー・ホプキンス主演だったよなあ。何が好きだというと、登場人物が時代背景もあるんだろうけど、極端なほどの自制心を持ちつつその下には感情が渦巻いているといったそういうシチュエーションが好きなのだ。
読み終えて巻末をみたらこの本、アンソニー・ホプキンスとジュリエット・ビノシェで映画化されるらしい。うーんこういう役どころにはやっぱりアンソニー・ホプキンスは外せないんだろうなあ。