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  2004-01-29 ‖Thu‖   

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  不思議な人間関係

私の家から最寄り駅まではなだらかに下る見通しの良い坂道が一直線に伸びている。そこで毎日すれ違う人がいる。黒いロングコートを着て若い小柄なその人はいつも一定のゆったりした足取りで坂道を登ってくる。私はだいたい早足、走っている時もあるけど坂を下っていく。彼の顔はいつも逆光で見えない。いやそうでなくても見ないかもしれない。

彼と坂道のどのあたりですれ違うかで私は自分が乗らなくてはならない電車に余裕で間に合うのか、もっとスピードをあげなくてはならないのか調整する。繰り返されるささいな朝の儀式。

当然彼がどこに行くのか、何をしているのか、名前は何と言うのか知らないし興味もわかない。でも日々繰り返される日常の中で毎日顔を合わせるこういうのを何と表現すればいいのだろう。今までの「他人」「知り合い」「友達」「家族」という距離が遠い近いという指標では表現できない関係。

そういう意味ではネットでの知り合いもそういう不思議な人間関係のひとつだと思う。日記などを通して一番その人の本質をつくだろう何かに触れていながらも、その本質が実際に会った時にどういうたち表れ方をするかは分からない。それは透明なボックスに入ったプレゼントみたいなもの。

本当であれば包装紙のかかった箱を持ってみて重さを量ったり、振ってみてその音を聞いてみたり、匂いを嗅いだりして想像してみる。想像して興味ない場合包装紙をしたままうっちゃっておくこともある。そういう手続きを踏まない関係。



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