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  2004-05-13 ‖Thu‖   

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  信じられるものを抹殺する世界

ダーク
桐野夏生の本のなかでもかなり登場人物の魅力に引っ張られてこの何週間かでシリーズを読破。「顔に降りかかる雨」「天使に見捨てられた夜」に引き続き電話帳みたいに分厚いこの本をかばんに放り込んで読んでいた。いろいろ疲れると、少々設定は奇異でも虚構の魅惑的な世界に逃げ出すにはこういうシリーズはうってつけ。

もともと孤独でタフな女性というものに、なにか深層のところで私はあこがれがあるらしい。前作2作ではまだダークな世界の中でも、主人公村野ミロをめぐる人たちとの交流の温度の暖かさを感じられたけど、今回は気持ちいいほど徹底して俗悪にまみれ信じられるものをすべて抹殺されなおタフに生き抜く主人公の姿が描かれている。あまりに壮絶すぎて逆に爽快というか、それでも嫌な後味が残らないところはさすが桐野夏生である。

個人的には前作2作でそこはかとなくファンだった「トモさん」が徹底して貶められていることにはじめちょっと拒否反応があったけどね。あと赤ん坊の出てくるくだりはやはり胸が痛んだ。いくらフィクションだったとしても。しかし桐野夏生の作品の根底に流れている「女性のタフさ」ってのは男の人の目にはどう映っているのかなあ。



llcafell at 05.13

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