いや〜深夜過ぎから見始めたんだけど、重いですね〜。というかクリント・イーストウッドの淡々とした演出は好き嫌いがはっきり分かれると思う。ああいうテイストが好きな人は物凄くこの演出に監督ならではの「知性」を感じるだろうし、物足りないと感じる人もいるだろうしという感じ。私はけっこう好きです。残酷なシーンに美しい情景を重ねたりそういうところ。
ジミー、ショーン、デイブの3人の少年が遊んでいるところへ、警察の名を語る男が車でやってきてデイブを連れ去り、彼は性的虐待を受けて戻ってくる。それから彼らが大人になったところから物語が始まる。ジミーの娘が惨殺され、その同じタイミングで血まみれで家にもどってきたデイブ、そしてその事件を捜査するショーン。それぞれの人生が再びクロスしたところ悲劇、悲劇、悲劇・・・の連続。人生はこんなに重いものなのですか、と問いかけたくなる。ハリウッドでこれだけ「人の孤独」を真っ向から描く監督はいないだろうなあ。
希望を与えられるモチーフはショーンの家出して行方不明になっていた妻と、名前さえ教えてもらえなかった赤ん坊がラストシーンで戻ってくるところのみ、という感じだけど、それでもよくできた映画だと思う。涙腺を違う意味で刺激するプロットでした。
しかし、若い頃はアクというか個性の強すぎた俳優3人組、こういうタイプは年を取ると凄く魅力的になりますよね。3人とも演技派、個性派で存在感を競い合っていて、淡々とした進行だからこそハマるというか。王道のいい男には醸し出せない魅力だよなあ。ケビン・ベーコンもいいし、ショーン・ペンは「デッドマン・ウオーキング」あたり、でティム・ロビンスはやっぱり「ショーシャンクの空に」のイメージが強烈でそういう目で見てしまう。しかしティム・ロビンス、個人的にはこの面子の中で一番好きなのだけど、ずーっと不幸で冴えないまま殺されてしまう哀れな役だったことに、あくまでも個人的思い入れですが少し消化不良というか欲求不満というかそんな感じです。彼には知性的な役が似合うのになあ。というか知性があるからあそこまでの役作りが出来るんだとも思うけど。あ、「デッドマン・ウオーキング」は確かティム・ロビンス監督でパートナーのスーザン・サランドンが出ていたんだっけ、と記憶の引き出しからずるずると出てくる出てくる。
ところで次のイーストウッド監督作品で見たいのは「真夜中のサバナ」。これ映画館で見たんだけど「良かった」こととジョン・キューザックが出ているぐらいしか覚えていない。再度レンタルして見てみよう。