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  2005-03-30 ‖Wed‖   

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  秘すれば花

会社を出る時に、電車のお供にそのあたりに散らばっている雑誌を掴んで出て行くことが多い。広告チェックしたいのもあるし、活字ジャンキーだから何か読むものがないと落ち着かないのです。

さて、今日のお供は「婦人公論」。もともとこの年齢高め設定の「生き方井戸端会議雑誌」を持っていくことは珍しいのだけど「桐野夏生と小池真理子の対談」を読みたくて持ってきた。

題名は「恋の終わり恋の予感」。考えるとお二方とも50代を過ぎているのにポートレイト写真を見ると絶句する程生き生きと美しい。表現者は年齢を経るごとに外見にその自信が美しさとなって現れるんじゃないかとも思う。もともと近しい間柄であるらしいこの2人のやりとり。恋の話にも及ぶのだけどどちらかと言えばふたりの性格的な対比が面白いなあと。

小池真理子は見かけのとおりキュートなお嬢様という感じでがんがん話を飛ばすのに対して、桐野夏生は言葉も少なく、でもどういえばいいのかその少ない言葉の節々にアグレッシブさやクールさが滲んでなんとも魅力的。まあ個人的に彼女の作品が好きだから無意識に肩入れしているのかも知れないんだけどね。

小池真理子は本人が作品を体現してい感じだけど、桐野夏生の押さえた言葉や妖艶(とこの人の外見は言っていいと思う)な外見からあの作風はとても想像できない。いい意味で裏切られているという感じ。この「秘する」雰囲気がまたいいんですね。向田邦子にも通じる、べたべたとした秘密というより「静かな強い意志の下の秘密」の存在が感じられてそれに惹き付けられる。「秘すれば花」というやつですか。ちょっと意味が違うかな。

しかし彼女も会社員の夫と娘を持つ母であり、その立場から飛翔した作品の想像力はやはり尊敬と羨望に値すると思うのでありました。と桐野夏生礼賛みたいになっちゃいましたが、小池真理子の魅力的なホステス役で彼女の魅力も引き出されたとも思います。しかし恋の話はふたりともまだまだ高みからもの言うという感じではなく、なかなか「うーん、深い」と思わせる対談でした。興味ある方はご一読を。


llcafell at 03.30

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Comments

「婦人公論」って一人称で告白系の人生論が多いんだけど、読み手が「へぇ〜」「はぁ〜」「あら〜」・・・とか相槌をつい打ちたくなるような淡々としたトーンが確かに井戸端会議チックですね。
「秘すれば花」は意味OKでしょう。元々能の言葉で人が持つ独特の空気感や、黙していても伝わる強烈な何かを、一番強く伝えられる方法ですよね。
サイレントな雄弁さって本当魅力的ですよね。


zig at 03.30*01:48 AM

なかなかこういう「生き方悩み雑誌」ってのは女性誌に特有というか、男性誌にはないんですよね〜。それだけそういう悩みを相談したり、投書したりして人にそれを伝えたい願望があるのは女性に特有なのかもしれないですね。

自分の頭にある語彙がちゃんと使えているか気になるんですよ。こ難しい言葉を出してきたはいいけど、意味を間違っていたら可笑しいですもんねえ。

桐野夏生、なかなか男前度と色気を併せ持つ希有なタイプだと思います。


llcafell at 03.31*04:10 PM
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