17歳で子どもが生まれ、23歳の現在可愛い6歳と4歳の娘と優しい(でも失業中)のダンナに囲まれながら「それでも私の人生はこんなはずじゃ・・・」と淡く思っている主人公アン。ある日腹痛に倒れて病院で手遅れの癌で余命2ヶ月の宣告を受ける。深夜のコーヒーショップでその事を誰にも伝えまいと決心し、死ぬまでにしたいことをリストアップしてひっそりと実行していくというストーリー。
「1、娘たちに毎日愛しているということ」「3、娘たちが18歳になるまで毎年誕生日のメッセージを録音する」というあたりはいかにも涙を誘うところではあるのだけど、「10、爪とヘアスタイルを変える」という何気ないリストに生きているそのこと、生きていることを楽しむことの執着を感じてしまった。映画の冒頭に出てくる、大雨の中目を閉じて立つアンが雨や地面の感触を受け止めているところと、2人の可愛い子どもたちへの日常の接し方が何とも言えず愛おしかった。むしろストーリーよりも。
アン役の人どこかで見た事あると思って調べていたら「スイート・ヒアアフター」のバスでの生き残りの大人びた女の子だったんだなあ。何とも重い映画だったけど、ヒッピーの家族の雪の中の住まいが好きな感じでそのシーンはまざまざと覚えている。監督ペドロ・アルモドバルの作品は「KIKA」ぐらいしか見てないけど、これを見て「オールアバウトマイマザー」を借りようと思いました。