感想その1、広告代理店の仕事の内容があまりにもリアルで、食い入るように読んでしまう。読書って私にとっては違う世界に踏み込む行為なのに、この本を読んでいるとなんだか胸苦しくなるぐらい、それほどリアル。おまけに人間関係も主人公の左遷のされ方も。あまりにも現実。当然作者はこの仕事に携わった人だろうと思ったら、やはりそうだった。
感想その2、主人公がつけている日記に、漢字が減り、ひらがなが増えるそのあたりは「アルジャーノンに花束を」を思い出す。記憶をとどめておくために仕事のメモをスーツのポケットいっぱいに詰め込むところは「博士の愛した数式」を思い出す。最後のほうになると本当に現実的には悲惨な状況のはずなのに、それなのに文章は軽妙というか、主人公と周りの人とのやりとりに僅かなユーモアを感じてしまった。これがこの作者のスタイルなんだろうなあ。最後のシーンは胸に迫るものがあった。
明日からグループ内40才以上男性に巡回予定。感想を聞くのが楽しみです。← やなヤツ?