最近なんとなく、「女力」を思い起こすべく柄にもなく恋愛小説に手を出しています。それも３０女の恋愛小説。このぐらいの年齢になると「セカチュウ」みたいに純粋にはなれないわけで・・・でもその中にふと垣間見える本当の心の、露出みたいなもの、それを描くのも作家によって様々な訳です。読んだのは林真理子「不機嫌な果実」、藤堂志津子「夜の電話のあなたの声は」、江國香織の「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」、そして 浅田次郎の「月のしずく」

まず、男と女で違いますよね・・・同じ恋愛模様を書くとしても。まあ「愛の流刑地」ぐらいまで行っちゃうとちょっと・・・という感じになるけど、微妙に浅田次郎の傷ついた男と女の関わり方ってのはセンチメンタルな感じで女性に優しい。それに比べて林真理子、藤堂志津子、江國香織の方はもう、女性に容赦ないって感じです。でもそれがまたそれぞれに３０女である当事者に「うーん」と言わせる力量ありです。

林真理子はどうしても自身のメディアへの露出がどうも好きになれないのが正直なところ。でも前も書いたけど女の嫌らしさや狡さを客観的に書かせたらすごいなあと思う。この「不機嫌な果実」もそんな感じ。あくまでも客観的。藤堂志津子は「熟れていく夏」のちょっとソフィスティケートされた雰囲気からがらりと変わった作風で、まだその作風を確立していないけれど、それでもなかなか捩れた男女の関りは一気に読ませてしまう力あり、でした。江國香織は登場人物の運命には容赦ないけれど、独特の洒落た女性好みの雰囲気作りがある。実は私は江國香織を読むのは初めてなのだけどこの雰囲気が女性読者への人気の秘密だったりするのかなあ。

ととにかく数を読んでおなか一杯という感じで、また元の路線に戻ると思うのだけど、さてはて「女力」は向上したのでしょうかどうでしょうか？乞うご期待！（笑）