さて、彼女のどこに惹かれるかというと、多分オーソドックスな仮面の下に隠された「野生」だと思う。そういう醜い人間の本質、いや、醜いのかな・・・人間の精神の暗がりをかなりクールにえぐり取っている著作は数多い。そんな私がジャケ買いしたのがこのムック「The COOL! 小説新潮別冊 桐野夏生スペシャル」
あとは彼女に対しての他作家のオマージュ小説やらエッセイやらかな。ユリイカの特集みたいな感じ。最後に彼女のバイオグラフィーが載っている。彼女が主婦で、自分のキャリアを確立するまで彼女の言葉を借りるなら「ヒリヒリするような自身の焦燥」がありながら、クールにそして一気に作家として才能を開花させる様がその4ページに凝縮されていた。彼女は年齢を経るごとに本当にどんどん美しくなっていくんですね。イギリスのエドガー賞のパーティの写真なんて女の私が見ても惚れ惚れする程。その時彼女は53歳。
奇麗に年を重ねるのもいいし、可愛く年齢をやりすごすのもいい。でも私はこれからの自分にこういうクールさが欲しい、と切実に思いました。でもそれは多分精神の問題なんだろうなあ。
おまけ、そして最後の最後に桐野夏生の作品映像化リストが載っていた。なんとCXの金曜エンタで8年間に「顔に降り掛かる雨」がドラマ化されていたんですね〜。成瀬は役所広司。うんうんこれは見てみたい・・・けれど村野ミロが鶴田真由。うーん微妙かなあ。でもその5年後に映画化された「天使に見捨てられた夜」では友部秋彦が大杉漣、村野ミロがかたせ梨乃・・・ノーコメントにしたいぐらい微妙だ・・・。