監督はチャーリー・「マルコヴィッチの穴」・カウフマン。主演はジム・キャリーということでかなりエッジなイメージが先行していたんだけど、確かに設定や細かい演出がテイストをしっかり出していたような気が。主人公の冴えないジョエルはある朝一通の手紙を受け取る。最近あまりうまくいってなかった恋人のクレメンタインがジョエルの記憶を消去したというラクーナ社からの通知の手紙。このあたりSF的な設定なのだけど描いている場面は日常的ながらそれ程の違和感は感じない。失意のあまりジョエルもラクーナ社を訪れてクレメンタインの記憶を消去してもらうように手配するのだけど・・・。
その記憶の消去の過程で、今までの楽しかった記憶が遡って再現される訳です。そのひとつひとつのエピソードはきっと、どんなカップルにだってあり得るだろう切ない、愛しい思い出。ふたりで凍った川に出て行き寝転がって星を観るシーン、出会いの海辺のシーン、ベッドでの会話、酔って帰ってきて車をぶつけた彼女との喧嘩。その思い出を辿るうちにジョエルは記憶を消したくないと無意識の中で自分の脳内を逃げ回るんだけど、最終的には消されてしまう。
でも、その後に観客を暖かくさせるエピソードが用意されている訳ですね。お互い記憶を消去されたとしてもまた新たに出会って惹かれあう。サイドストーリーでラクーナ社のキルスティン・ダンスト演じるキュートな女性社員が同僚と付き合っているのだけど、実は上司と不倫していてその記憶を本人の了承無くその同僚に消されていたことが、思わずしてしまった上司とのキスで判明したみたいなほろ苦いエピソードも平行して進行しつつ、見終わった後に自分のパートナーとのエピソードもついつい思い出してしまう映画でした。これからぐんと寒くなる時期にお勧めかなあ。