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  2005-12-19 ‖Mon‖   

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  風味絶佳

huumizekka.jpg 寒さなのかどうなのか、子供たちと絵本を読んでそのまま寝てしまう日が続いている。「はい、おしまい」と絵本を枕元に置いて、右手の方にいる息子の背中をさすりながら左に寝ている娘に腕を預ける。「そろそろ寝息が聞こえてきたかな・・・さて、起きてあれしてこれして」と思っているところで自分の意識がカットアウト。次に起きるのは1時半ぐらい。お風呂係はダンナなので私はお風呂も入ってなくてエプロンもつけたままだったり、さすがに最近はヤバいと思って絵本を読む前に化粧を落として歯を磨くようにしているんだけどたまにそれもしてなかったりする。さすがに耐えかねて「ねえ、おかあさんお風呂はいらないと「ごぼう」になるから、絵本読んだらお休みしてバイバイしていい?」と聞くもあえなく却下。「ごぼう」というのは「ごぼうとにんじんと大根」という日本昔話で、ごぼうはお風呂に入らず真っ黒、にんじんは熱いお湯に入って真っ赤、大根はゆっくりといい湯に浸かって真っ白という話からの出典です(笑)。

さて、昨日も沈没、沈没しなかったらこうしようああしようという計画の中にこの「風味絶佳」を読むことが入っていた。でも1時半に起きて「ちょっとだけ・・・」と読み出すと止まらなくなってそのまま読了。読了時間3時半也。

山田詠美の本の中ではけっこう異色なのかな。普通の男女が紡ぐ普通だけれども濃密な愛の世界が展開されている。いや、普通じゃないな。きっと精神の内側から見る皮膚感覚の、本能に近い男女の愛情。6編ほどの短編集だけど、その中で厳格な富裕な家から逃げ出してきた奥さんがごみの収集をしている男の家に住み着き、毎日毎日彼のために美味しい料理を作る話があって、その料理の詳細が延々続く箇所がなぜかすごく好き。じゃがいものクロスティーニを作るのに熱いふかしたジャガイモを軍手をしてむくとか、トマトの皮むきをするのにガスの火にかざすとかね。

でもどの短編も愛情のあり方に精神の深みが感じられて、とても良かった。次の段階の、大人の恋愛の極上の小説です。



llcafell at 12.19

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