「ニュー・シネマ・パラダイス」、この映画が映画の中の名作と言われてもう長くなった。気持ちを掴まれて単館上映の映画館に3回も観にいったのは多感な大学生時代。ちょうど主人公のトトが青年時代でエレナと恋に落ちるそのシチュエーションが思い切り刺さる時代だった。その後エンリオ・モリコーネの映画サントラを購入し、文字通り擦り切れるまで聞いた。DVDを購入しなかったのは多分、擦り切れるまで観ることによって「飽きる」ことを恐れたからかもしれない。名作としてDVDの廉価版も出ているにもかかわらず今だ家にはない。
それ程時間を置かずにノーカット4時間という「完全版」をこれも映画館で見た。追加された大きな箇所は映画監督として成功したトトが、エレナと再会する場面。観たあとの感想は、あの箇所を入れる必要があったのか、という疑問。青春の恋の終わりを作る形での再会、そして和解。はっきり言って観た時点ではその部分は興ざめだったように覚えている。でも、今はあの場面を監督が入れたがったことが理解できる。恋愛の甘さは多分、現実の苦味があってより深くなるというか。こういうことが理解できるようになるってのは年をとるのも悪くはないな。今でもやっぱりあの、有名なラストシーンを思い出すだけで、そして音楽を聴くだけで涙腺を緩ませる人も多いだろう。リバイバル上映も相変わらずあると聞くし。彼のご冥福を心よりお祈り致します。
ところで、最近あの映画のサントラからCMの曲やテレビのドキュメンタリーに使われる曲、なんだか多いけど著作権の問題なのかな。某生保のCM曲が流れる度に映画のオープニングのシーンである、海の見えるベランダに置かれた鉢を必ず想起する私です。