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  2010-03-07 ‖Sun‖   

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  OCEANS:つらつら所感

oceans.jpg
子供たちが封切り2日目の「ドラえもん」新作を観たいと言い出し、初めは「お母さん見ないよ。外で待ってる〜許して〜」とか言っていた。けれど調べるとシネコンで「オーシャンズ」が5分違いほぼ同じ尺で上映していることが分かり、子供たちをポップコーンとメロンソーダ付きでドラえもん席まで送った後に、劇場を移動して観ることができた。その感想なぞ久しぶりに文章で。

子どもは500円で入れるということもあって、小さい子どもを連れた家族連れ多かったなあ。でも映画はけっこうフランスっぽい感じ。映像は圧巻でダイナミックなシーンも多い反面、内省的で哲学的な感じもあって小さい子どもは2時間の最後のほうはけっこう退屈していたかも。海の解釈では「グラン・ブルー」を思い出したぞ。音楽も重厚なクラシックがだいたいにおいて流れている感じ。

でもさすがに「WATARIDORI」「ディープ・ブルー」の監督作品、血なまぐさい箇所のCG映像以外は、4年間カメラを回してその中の良い映像5%以下しか使わなかったという。非常に良かった。私が印象に残ったのは、イワシの群れを追うイルカとそれを上空から狙う海鳥が、文字通り「矢のように」水面に刺さって水中の魚を捕らえるシーン。それからザトウクジラが数頭協力してこれも魚の群れを水面に追い上げて一挙に食べるシーン。あとはシロナガスクジラ・ザトウクジラの泳ぐ映像。美しくて荘厳さすら感じました。

でも・・・どうも「既にどこかで見た」感がぬぐえない。ちょうど数日前にテレビでそれと知らずに同じような映像を見たからかもしれないけれど。それほど現在テレビで放映されている海の生き物に関する映像はクオリティが高いんだなあと。特にイルカ・鯨は良く取り上げられているしなあ。あと、けっこうな割合で「水族館」で実際を見ている生物も多かったってのもあるかも。チンアナゴもコブダイもハナミノカサゴもジンベイザメも、ジュゴンですらも実物を見ているからなあ。

少年の「海ってなに?」という問いかけから始まるこの映画、美しい海の映像は続いた後は、突然「海の生態系を破壊する人間」の残酷なモチーフが現れる。ネタばれになるけれど、サメのひれと尾ひれだけを切り取って海中へ投げ捨てるシーン、残酷さの象徴という感じだったけれど、でもこのとき私は「いのちの食べ方」という牛や豚の屠殺のシーンを思い出していた。結局人間はいろいろな生き物の命を奪って生きている。それをこういう見るからに残虐なシーンで見せると逆に底が浅い感じもした。

色々な海の姿を見せた後、ナビゲーターの男性が少年に「海は多様な生態系が共存するということが素晴らしい」と伝えていたがまさにそれは人間にも必要なことなんだろうなあと。多様な価値観が共存して、そして共生できる世の中。そして、映画を観ながら思い出していたのは星野道夫。一時この人の本と思想に魅力を感じて良く読んでいた時期があった。自分が精神的に辛いとき、その瞬間に地球の裏側の海洋ではザトウクジラがゆうゆうと泳いでいると考えたら気持ちが和らぐというエッセイの文章を思い出す。私が映画を見ているこの瞬間にも、映画に出てきた生物達が同時にこんな生を生きていると考えると何とも言えずゆったりとした気分になれる。

とつらつらと感じたことを断片的に記録。あとはトリビア的な楽しさで、まずは少年のナビゲーター役で出てきた白髪の男性、この面影どこかで見たことあると気になって調べたらジャック・ぺラン監督その人で、昔「ニューシネマパラダイス」のトトが成功して大人になったところの役をしていた人だった。擦り切れるほど観た「ニューシネマパラダイス」だからこそ覚えていたのね。きっと。それから、最後のほうに出てくるジンベイザメの泳ぐ大水槽、こちら「美ら海水族館」かなあと思ったけれど違っていました。ジョージアにある水族館らしい。そして、最後に絶滅した生物の剥製が置かれている博物館。自然史博物館好きな私としては行きたいなあ・・・と思って調べたら架空の博物館をセットで組んだらしい。あの天井から鯨が釣り下がっているのはNY自然史博物館を思い出した。あの空気感が好き。

WhalesAlive.jpg
ということで、余韻を楽しむために昔のポール・ウインターの「WHALES ALIVE」というCDを引っ張り出して聞きながら書いています。ザトウクジラの声とポールウインターのソプラノサックスの掛け合いの美しい音楽。時が経っても色褪せないままです。



llcafell at 03.07

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