舞台はフランスのナチス占領下の時代。ユダヤ人の家族が連衡されその家族の長女であるサラの物語と、その物語を追うジャーナリストの40台の女性のジュリアの物語が平行して展開する。ナチス話は相変わらず悲惨で残虐なんだけれど、焦点はそこではなくてサラ個人の生。小さくても毅然として、強制収容所から脱出するとき見つかった兵士の眼をまっすぐに見て、名前を名乗って彼が踏みつけていたリンゴを取らせてくれたお礼を言う。人間の尊厳を失わない凛とした姿に思わず兵士が逃がす場面が良かった。
そして意外なつながりがジュリアと時間を越えたサラの間にあり、そのサラの生き様を追ううちにジュリア自身の生き様とシンクロしてくる。あまりにも悲惨な経験、それを負って成長したサラの末路。ジュリアはその生に感銘を受け自分の生き方も修正していく。サラという名前にまつわる最後のエピソードは泣いた。昔のひとりの女性の存在が消えることなく引き継がれるイメージでした。
「サラの鍵」という題名は文字通り弟をナチスから匿って閉じ込めた納戸の鍵のことだと思うけれど、意味としてはサラという女性の人生を紐解いているうちに、彼女を取り巻く人たちの心の扉を開くものの象徴という気がした。彼女の生は重すぎて悲しい末路だったけれど、彼女を取り巻く人たちに大きな意味や余韻を残した。佳作でした。じっくり楽しめる映画。
シネリーブル神戸で観て、そのまますぐに家へ。ちょっと実母にお願いしていて子どもたちとも夜きちんと向き合えた。ぐらはさすがに暇そう。ゲームは現在禁止してるからね〜。まあでも咳も取れてないし病み上がりだからちょうどいいかな。平日としてはぎりぎりラインだけれど自分のチャージ。
映画公式HPの角田光代のエッセイが良かったです。