夢か現か幻か
ちょうどお昼にかけて外出がはいったので、ここぞとばかりに国立国際美術館の展示「What we see 夢か現か幻か」を駆け足で観て来た。映像作品のみできっと私の好物の「ほとんど人のいない美術館だろうなあ・・・」の思惑通り、ほとんど人おらず。この美しい建物の中の静謐さに癒されました。自分の足音がこつこつと柔らかく響くのも楽しんだ。
すべてがビデオ展示で暗いフロアを迷路のように次から次へ部屋に移っていく。それぞれをゆっくり観ていると時間がとても足りないので、興味をぐっと引けばとどまってじっくり観た。気になったのはさわひらきの「Lineament」がダントツ。モノクロームの静謐な絵のような作品で、大きな隣り合う壁をスクリーンにシュールな詩情溢れる部屋の中の世界が展開される。部屋の反対の壁にはレコードプレイヤーが置いてあって、そのレコードが解けて糸となってビデオの部屋の中に入りこむ幻想。ビデオ作品ながら絵画的。
それとは違ってエイヤ=リーサ・アハティラの「受胎告知」は北欧の何気ない村の風景の中で、「受胎告知」の寸劇を配役を決めてやるまでの各役のやりとりをずっとドキュメンタリーとして収録。最終的に劇で終わる。3方向に映像が映し出され台詞は一緒だが切り取られる景色は違う、短編映画の新しい解釈といった趣だった。あとジャオ・チアエンの「レム睡眠」かな。3画面に眠りに落ちるアジア系の人物が映し出され、互い違いに起きて自分の寝ていたときに見た夢を語る。ほとんどは家族のことだったり。彼らに共通なのはさまざまな国から台湾へ出稼ぎに来ているということ。これも伝えたいことをあぶりだす良い作品でした。
そして常設展では前も会ったヴォルフガング・ティルマンスの「自由な泳ぎ手」の3点セットの前にひとり。部屋にひとり。独り占め観賞。なんて贅沢なんだ・・・。
ということで、こういうチャレンジングな企画展には是非また足を運ぼうと強く思ったのでした。今まで凝っていた自分の心の洗濯になる〜。仕事中だからできなかったけど、これで近くでワイン1杯でも飲めたら至福だわ・・・。
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