フランソワ・オゾン監督で本国フランスで120万人動員しただけのことはあって、いかにもフランス人が好みそうな映画。ウディ・アレンのフレンチ版心理サスペンスという趣きでした。高校の国語教師が文才ある生徒にほれ込み、文章について教えていくうちに彼の書く同級生の家族へ入り込むそのプロットへの興味が止まらなくなり、危険を冒してでもその先を知ろうとする。そしてその様子を確信犯として知りつつ、生徒が今度は教師のプライベートまで入り込み彼を社会的に破滅させるというストーリー。ストーリーだけ追うと暗い感じだけれど、随所にフランチエスプリっぽい軽さがあってそれ程気にならない。その生徒が心理的に周りの人たちを巻き込み操る様子はアンファンテリブルという雰囲気でもある。その生徒の見かけもいかにもフランスのちょっと影のある美少年だしね。しかしフランスではやっぱり分かりやすいアメリカ的大作はそれほど動員しないのね。お国柄か。
個人的には友人宅の母親の硬質な美しさ、それと国語教師の相方の画廊勤務のパートナーの雰囲気が良かったかな。ちなみに母親はエマニュエル・セニエ・・・私が見た映画だと「潜水服は蝶の夢を見る」の母親役、パートナーの方は最近見た「砂漠でサーモンフィッシング」の大統領のユーモアと皮肉の切れ味が素晴らしい広報担当官でした。