ルブタンの靴は憧れのお洒落のアイコン的な意味合いになっているけれど、この映画はそのクリエイティビティの芸術的な表現で、パリの有名な老舗ショークラブ「クレイジーホース」で80日間だけ開催されたショーを収録した映画。もう・・・なんというかヨーロッパ、それもフランスで魅力的な女性がどんなものなのかを余すことなく表現してる。アメリカの官能とフランスの官能はまったく違う事がよく分かる。ルブタンも映画内のインタビューで言っていたけれど、彼女たちは曲線でできていてまったく直線的なラインがない。胸よりも丸いお尻がこちらでは魅力的に写るのもカットを見ていると一目瞭然。そして若い女性ではなく30代ぐらいの女性は、皆成熟していてニュアンスが本当にエロティック。そんな女性が履くルブタンは単なる靴じゃなくて、芸術的で官能的な主役にもなりえる何か生き物のようなものだった。特にセンシュアルに映ったのは高い細いヒールのついたトゥシューズ。あとは後ろのかかとのところだけミンクのファーをあしらったまた高い高いピンヒール。靴はフェテシズムに近いポジションにあるものだけど凄まじいまでのエロティックさを撒き散らしているようでした。
ショーの演出も素晴らしく芸術的。私は「スキャナー」と「スプートニク」が好みかな。そして音楽の1曲はデイビット・リンチという豪華さ。このクレイジーホース。名だたる俳優やミュージシャンが常連だというから、何かインスピレーションを生み出す「場」なんでしょうね。