4月の異動で私の相棒が代わったため、引き継ぎやそれと同時進行の案件で追い立てられるように忙しい。スケジュール帳も予定で真っ黒。あー。育児と仕事のバランスとってこのまま曲芸師のごとくまわしていけるのか、とりあえず・・・やれるとこまでやってみよう。
そんな中、チェックしていたにもかかわらず、家の近くのレンタルDVDには置いてなかったため涙をのんだ「サイドウェイ 」、最近資本が代わってTUTAYAにその店舗が変わったとたん大量入荷。早速鑑賞してみた。もうね〜絶対飲みたくなると思って、ボルドーの赤(当然テーブルワイン)をわざわざ開けてスタンバイ。
主人公のマイルスは2年前に離婚した冴えない中年教師。小説家志望だけど日の目を見ていない。その大学時代のルームメイトジャックは落ちぶれた俳優だが女を落とす事に関しては凄腕。そのジャックが結婚して年貢を収めるということで、男2人でワイン&ゴルフ&女三昧の一週間を過ごそうと、車で気ままに旅に出るというロードムービー。でもなかなかほろ苦くて可笑しくてワインもすすむ私にうってつけの映画でした。
マイルスはなかなか自分の想いや愛情を伝えるのに不器用で、ワイナリーのいきつけのレストランで働く魅力的な美人マヤから好意を寄せられているのが分かっていても、なかなか行動でも言葉でもダイレクトなアプローチができない。でワインの話をするわけですね。ピノ・ノワールをこよなく愛し(私も大好き)、今でも愛している離婚した妻と開けるための妻の生まれ年の61年のシュバルブランを自分のセラーのベストワインとして持っている。その元妻が再婚したと聞いてはワインで泥酔し、ジャックの結婚式でその元妻が妊娠したと聞いては傷ついて、ファーストフード店でプラスチックカップにそのシュバルブランを乱暴についで飲んじゃう。情けないけど、そこがなんとなく切なくて守ってあげたくなるのは女の母性に訴えるタイプなのか?
対してジャックは、結婚前の旅行を有意義に過ごそうと隙あらばナンパして女と甘い一夜を過ごす。でもそれだけなら嫌なヤツという感じなのだけど、結婚するとバレて女からヘルメットで殴られ鼻の骨を折ってしまったり、別の女の家ではダンナに踏み込まれて素っ裸で逃げ出してきたりこちらも憎めない。2人とも情けない中年男なんだけどそれがまたかわいいと思っちゃうってのは、私もそういう年だって事ですね。ハイ。
水と油のようなふたりの男だけど、凸凹がうまく合うようにお互い喧嘩しながらも真剣に相手を心配したり、笑いあったり。そのふたりの関係値もいい。そのふたりに絡んでくる女性陣も魅力的。マヤは優等生的で快活、でも控えめな知性的美人。ステファニーは男心をそそるキュートさを持ちつつもタフ。そしてその舞台はカリフォルニアのワイナリーの数々。あちこちの一面ブドウ畑のワイナリーに訪れてはテイスティング三昧、そして夕暮れの金色に輝くワイン園にワインを持ち出し4人で飲むって・・・ああ私もそんなことしたい〜。
というわけでお勧めです。マヤの映画中の会話のこの言葉がふるっている。「夫はワインに詳しくて蘊蓄のある知識人だった。けれど私は自分の味覚が鋭いことに気がついて思ったの。彼は「ニセモノ」だって」。ワインに詳しい人も、詳しくなくてもワイン好きな人には特に。是非ご賞味あれ。