でも、雑誌のカテゴリー的に順当な出版ではある。前出の「PRECIOUS」も、もともと同じ小学館の「DOMANI」が働く女性のための雑誌というポジショニングで成功し、読んでいた読者の世代が上がってきたところに創刊されたエクステンション雑誌。そして「日経EW」は「日経WOMAN」を出版している日経ホーム出版がノウハウを蓄積し、年月を経て現れてきた働いていてマネジメントに進んだ女性という、世代というより、会社でのポジションという垂直方向に上のターゲットに創刊したもの。平たく言えば小学館の軸がもともと「働く女性」オールターゲットで世代差で違う雑誌を創刊しているのに対して、「日経WOMAN」の読者が年齢を経て「日経EW」に移行するのではなく、そこに社会的地位がないとそのステージに進めないってことです。なかなか複雑なエクステンション。
編集長はもと「日経WOMAN」編集長である野村さん。彼女とは過去少し話す機会があって、非常に芯の強い、でも良い意味で普通を忘れないクレバーで柔らかい印象の人だった。彼女も、まさにこの雑誌のリアルターゲットですね。さて、今後本創刊で月刊化するかどうか世の中のジャッジ拝見という感じです。
ここからは私的感想。
記事の中で、インタビューを読み思わず羨ましくて嫉妬してしまった女性がいた。SS製薬のマーケティング本部長にヘッドハンティングされてきた女性、35歳。彼女はP&Gを振り出しに、一旦主婦として3年のブランクの後ユニチャームメンリッケでのマーケティングのヘッドとして実績を出し、そこからのヘッドハンティング。
さて、どこに嫉妬したのか?それは彼女の自分のビジネススキルへの自信と、戦略的な仕事の選び方が出来る明晰さ。ここに尽きる。まあインタビューなのである程度は誇張されているとは思うのだけどね。思えば私の就職の時期、P&Gや、アンダーセンなどのコンサル会社、IBMなどに就職した大学の同期はたくさんいた。私は結局「広告代理店」に行きたいという頭に凝り固まって、彼女のように「就職して結婚して出産しても、働き続けられて実績を出せば認められる会社に」という自分のライフデザインから戦略的に業種を選ぶなんて考えたこともなかった。そしてこういう外資系会社は、若いうちにハードな環境できちんとビジネスの基礎が身につくわけですね。それが「主婦になっても不安はなかった。なぜなら前の会社でビジネスに関しては徹底的に叩き込まれたから」と言える彼女の自信の元になっている。
まあここまでの実力があり、チャンスに恵まれた人もなかなかいないとは思うのだけどね。でもヘッドハンティングの条件として「毎日6時に家に帰ること」を提示して飲ませるほどの実力って、やはり凄い。そう、彼女は子どもを学童に入れて働いている母親でもあるのです。うーん・・・やはり羨望だなあ。いや20代に特にキツい仕事もする訳ではなく過ごしてきた、「キリギリス」の私が言う言葉ではないかもしれないのですがね。