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  2006-12-05 ‖Tue‖   

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  香水

3年前ぐらいにも日記に書いていた忘れられない物語パトリック・ジュースキント「香水?ある人殺しの物語」、本屋によると文庫本が目に付いて懐かしくなって再読。このタイミングになぜ文庫本かというと来年3月に 映画が封切られるんですね。あの世界観を映画に乗せるのか〜。「薔薇の名前」とかのちょっと暗がりを連想させる官能的な中世のイメージになりそうで楽しみ。マーチン・スコセッシとスピルバーグが映画化の権利を奪い合ったと大々的に帯に書いてあったけれど、モチーフとして非常に魅惑的なのは理解できる。原作もドイツ以外で200万部の大ベストセラーらしい。

自身は体臭を持たない主人公グルヌイユが、自分の卓抜した嗅覚を突き詰めていったその先に陥るおぞましい出来事。でも全体のトーンとしては「香り」の言葉が散りばめられた寓話のようでもあり、その意味するものをしばし考えてしまう。究極の香りを調合することによって人々の自分への印象をもコントロールするグルヌイユ。それを持ってすれば世界に君臨することも可能なのに、それに魅力を見出さず自らの身を滅ぼす。その根底にあるものは愚かな人間に対する軽蔑・・・愛を感じるのに香りという形ではないと感じられない不幸が淡々と語られるというなんともノワールな話。

「香り」というものは確かに人間の感覚に近いからこそ人の印象を形作るものだと私も思う。人の印象は例えば「顔の造作が美しい」という端的な1ファクターのみにたち現れるのではなくて、その人の声だったり体臭だったり、ふとしたしぐさだったり表情だったりそういう統合された情報のバランスが良ければ、好意的な「印象深い人」として人の記憶に残るのだろう。でもそれを人に説明してもらおうとしても「何となく印象的」という漠然とした感想になったりするんだよね。まあだから面白いんだけど。

とりあえずざっと2日で読んだけれど、単純な感想になるけれど実際聴覚や嗅覚が鋭すぎる人は、それで身を立てられるけどいろいろと日常生活の中では大変なこともあったりするんだろう。やはりこのあたりもバランスが大事ということ、かな?絶対音感のある人もいろいろと支障あるらしいしね。あと、私の経験則だと食にうるさい人は香りにもけっこう敏感だったりするんだけど、このあたりの感覚はつながるものがあるんでしょうか・・・。


llcafell at 12.05

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Comments

>絶対音感のある人もいろいろと支障あるらしいしね。
はい、あります!私って、3歳から12年くらいピアノを習っていて絶対音感があるんだけど...。それはいいとして、音痴なんです。絶対音感のある音痴って、なかなか信じて
もらえないんだけど、音を聞き取る能力と発声する能力は別のようで。。。(^^;)
んで、何が支障かっていうと、カラオケがストレス解消にならないのだ。
自分の歌ってるメロディがちょっとでもはずれると、すぐ分かっちゃう(涙)
だから、なに?ってコメントになっちゃったけど、ご報告まで←いらんって?


amico at 12.08*10:20 AM

絶対音感かあ・・・私も6歳ぐらいから12年ぐらいピアノ習っていたけどあれって、
ポーンと音が鳴ったらその音が何か言えるんだよねって、この話題って某マダムのとこに
出てたよな〜。私はこれあまりなかったような気がする。

でもオケやってると「A」の音ですべての楽器をチューニングしてそれから演奏に
なるんだけど、その時その「A」の音がちょっと下だったり上だったりすると
すごーく気持ち悪いんだよね。ただ、それはオーボエの基本音に合ってるか
どうかで聞いていたから相対的には分かるけど絶対音感はないってことだよね。

昔ノンフィクションで最相葉月の「絶対音感」ってのを読んで、ああいう感覚が
ありすぎるのもけっこう大変だよな〜という感想がこのエントリの下敷きになってます。
カラオケって最近行ってないなあ。昔は営業ツールとして必須能力(笑)だったんだけど
もともと、たくさんの人がごっそり集まるところがあまり好きじゃないからなあ・・・



llcafell at 12.08*10:39 AM
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